ツイストサーブ(twist serve)
タ行 つ
読み方 ツイストサーブ
別名 アメリカンツイストサーブ
 

 ツイストサーブもアメリカンツイストサーブも同じものを指す。もともとはアメリカンツイストサーブとよばれていた。

 御存じのようにローンテニスは大英帝国時代のイギリスで生まれ、あっというまに世界中に伝播していったのだが、アメリカにわたったことが競技の性質をかえてしまうことになる。ツイストは捻ると言う意味であり、ボールを捻りあげて回転をかけ変化させることをさすのだが、なんとイギリス本国ではこれをフェアではない、ということでおこなわなかったのである。勝敗にこだわらずスポーツマンシップにこそ重点をおいたイングリッシュローンテニスはネットダッシュさえアンフェアな行為とみなされたという。もっとも1877年の第一回全英選手権(ウインブルドン)はネットに飛び出してのボレーを発明したスペンサー・ゴアが優勝したのだが・・・(翌年はそれに対抗してロブが発明され彼ははやくも敗れた)

 ツイストサーブは現在その名でよばれることはあまりない。トップスピンサーブやキックサーブと呼ばれるものとほぼ同一の性質ももつ。
 トップスピンサーブは、トスしたボールの真後ろをこすりあげ、順回転(トップスピン)かけるというもので、非常にセーフティで、セカンドサーブに最適であり、事実硬式テニスのセカンドサーブではほとんどがこれだ。ツイストサーブはそのトップスピンサーブをさらに過激にしたものといえようか。またバック側の高い打点というのは硬式でも軟式でも最大のウイークポイントだが、そこをねらうのに好都合だ。とくにアドコートからはレシーバーをコートからサイドに追い出してしまうことができ、効果的である。デュ−スコートからは当然センターを狙うことになる。

ツイストサーブ
ゲーリー(USA)のツイストサーブ。フォロースルーに注目。

 北欧の貴公子と呼ばれたステファン・エドバーグ(エドベリ)という美しいプレーヤーがいたが、彼はファーストサーブからこのツイストサーブを用いた。このサーブではノータッチのエースはまずのぞめないので、プロでは珍しいことだが、これはかれの美意識にもとづいての選択だ。彼はとにかくネットプレーに絶大な自信とそこで決着をつけたい、勝負したい、という信念の基にたたかっており、サービスエースに魅力を感じなかったのだ。このサーブは滞空時間が長いのでネットラッシュには最適なのである。 硬式テニスのダブルスではファーストサーブからスピンサーブがおおかったのはこういうわけだ(ただ最近はウイークエンドプレーヤーはともかくトップのゲームでは変わりつつあるようにみえる)。ジミー・コナーズは自身が出演したビデオのなかで、このエドバーグのサーブを「お子さまむけのサーブ」と酷評した。この非難はエドバーグがさきの美意識にもとづいておこなっているのだから、あたっていないと思うが、「お子さまむけ」というのには一理ある。というのは順回転をかけ打ち上げるようにうつので上背のないひとに最適だからである。

 このツイストサーブは21世紀に入り、日本のジュニアのなかで大流行した。「テニスの王子様」というタイトルの中学生の天才プレーヤーを描いた少年マンガの大ヒットの影響である。テレビアニメにもなったこのマンガの主人公の得意技がこのツイストサーブなのである。

 

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