カットサーブは、
- エースを狙えるような強烈なスピンをかけたもの
- とにかく確率絶対優先でその範囲内で相手の攻撃力を、スピンをかけボールの勢いを殺すことで、削ぎたいとするもの
の2種類に大別される。1はファーストサーブに、2はセカンドサーブに使用される。1と2は厳密な違いはなくて、本来レベルがあがってくると2は1に限りなく近付くのが理想である。
さてここでしめした画像は台湾の名手葉育銘(イエ・イミン)選手のカットだが、ちょうど1と2の中間ということになるだろうか。葉選手はネットプレイヤー(前衛)であり、できるだけすみやかにネットにでたい。できるだけ質の高いサーブを確率よくいれて、いいポジションを確保する、ということを意識したカットサーブなのである。
技術的なポイントをいくつか。まず、カットサーブという名称について。一般的にそういわれているのでここでもそれをつかっているが、この名前が、このサーブを間違えて解釈してしまう危険を秘めているし、実際誤解している人が一杯いる。カットと言う言葉にこだわり、あくまでボールを切ってしまうのである。これではいつまでたっても安定したサーブを打つことできない。威力はあっても20回に一回ぐらいしか入らないようではどうしようもないわけだ。切る、というよりは、そぐ。カットではなくてスライス、という感覚が近い。何が違うか?カット、切るというと刹那的であり、そうなると強烈なスピンはかけられても、方向性、つまりコントロールを与えることはむずかしくなるわけだ。ボールの薄皮をむくようにラケットをボールにかませる感覚をつかむことが肝要である。スナップを利かせるなどもちろん論外。リストは意識してつかわないこと。固定しろ、という指導もあるがそこまでいくと言い過ぎになる。別の問題がでてくるような気がするのだ。固定する、といってしまうと手首が固くなってしまう危険がある。かといって手首は柔らかく脱力してつかわれるわけでもない。このへんのニュアンスはまことにむずかしく、これは練習に練習を重ねて自身でつかむしかない。
グリップはできるだけ薄いのが打ちやすいだろう。イースタンよりもコンチネンタル、あるいはそれより薄いバックハンドイースタン。これも練習して自分のグリップを見つけるしかない。他人の握りは、例えそれが名人のものであっても参考にしかならない。
葉育銘はバックハンドイースタンを使っている。ラケットを短くもっているが、これはコントロールを重視しているため。長く持ったほうが当然威力がでる。
台湾は強烈なカットサーブのいわば本家。そんな中で葉はとくにカットの名手というわけではないが、さすがにつぼを押さえた技術であり、初級者、中級者にもおおいに参考になると思う。 |