葉育銘
YHE I-Ming イェ・イミン
(台湾)

1990年代後半の台湾のエース前衛。1995年世界選手権ダブルス銀メダル、1998年アジア五輪ダブルス銀メダル、1999年世界選手権国別対抗金メダル1997東アジア五輪国別対抗銀メダル、1998アジア五輪国別対抗銀メダル。1999年に世界選手権、1998年のアジア五輪における日本戦での活躍は忘れ難い(北本・高川、北本・斉藤、中堀・高川に三連勝、ペアは廖南凱)。

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CUT SERVE
カットサーブ
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
16 17 18 19 20

カットサーブは、

  1. エースを狙えるような強烈なスピンをかけたもの
  2. とにかく確率絶対優先でその範囲内で相手の攻撃力を、スピンをかけボールの勢いを殺すことで、削ぎたいとするもの
の2種類に大別される。1はファーストサーブに、2はセカンドサーブに使用される。1と2は厳密な違いはなくて、本来レベルがあがってくると2は1に限りなく近付くのが理想である。

 さてここでしめした画像は台湾の名手葉育銘(イエ・イミン)選手のカットだが、ちょうど1と2の中間ということになるだろうか。葉選手はネットプレイヤー(前衛)であり、できるだけすみやかにネットにでたい。できるだけ質の高いサーブを確率よくいれて、いいポジションを確保する、ということを意識したカットサーブなのである。

 技術的なポイントをいくつか。まず、カットサーブという名称について。一般的にそういわれているのでここでもそれをつかっているが、この名前が、このサーブを間違えて解釈してしまう危険を秘めているし、実際誤解している人が一杯いる。カットと言う言葉にこだわり、あくまでボールを切ってしまうのである。これではいつまでたっても安定したサーブを打つことできない。威力はあっても20回に一回ぐらいしか入らないようではどうしようもないわけだ。切る、というよりは、そぐ。カットではなくてスライス、という感覚が近い。何が違うか?カット、切るというと刹那的であり、そうなると強烈なスピンはかけられても、方向性、つまりコントロールを与えることはむずかしくなるわけだ。ボールの薄皮をむくようにラケットをボールにかませる感覚をつかむことが肝要である。スナップを利かせるなどもちろん論外。リストは意識してつかわないこと。固定しろ、という指導もあるがそこまでいくと言い過ぎになる。別の問題がでてくるような気がするのだ。固定する、といってしまうと手首が固くなってしまう危険がある。かといって手首は柔らかく脱力してつかわれるわけでもない。このへんのニュアンスはまことにむずかしく、これは練習に練習を重ねて自身でつかむしかない。

グリップはできるだけ薄いのが打ちやすいだろう。イースタンよりもコンチネンタル、あるいはそれより薄いバックハンドイースタン。これも練習して自分のグリップを見つけるしかない。他人の握りは、例えそれが名人のものであっても参考にしかならない。

葉育銘はバックハンドイースタンを使っている。ラケットを短くもっているが、これはコントロールを重視しているため。長く持ったほうが当然威力がでる。

台湾は強烈なカットサーブのいわば本家。そんな中で葉はとくにカットの名手というわけではないが、さすがにつぼを押さえた技術であり、初級者、中級者にもおおいに参考になると思う。