フォアハンドの水平打法。レベルスイング、あるいはサイドストロークなどとも呼ばれる。
選手は2002、2004と2度全日本ランキング一位になった浅川選手。グリップはウエスタングリップ(やや厚めか)。大きなフォロースルーが目に付く。21コマ目までラケット面がクローズしていないことにも注目。あたりが実に厚い。高い位置へのフォロースルーはウエスタングリップの特徴であり、フラット面を維持するためである。セミウエスタンやイースタンといった薄めのグリップでこのようなスイング軌道をとると面が開いて(空をむいて)しまう。
ラケット軌道はやや上向きだが、特にスピンを意識した打ち方ではなく、ほぼフラットスイング、つまりレベルスイングというわけだ。速いボールは意図していないので鋭さはないが、深い球足の長いボールを意識しており、そのゆったりとしたスイングの大きさを学んでほしい。適度なトップスピンが利き、よくコントロールされた伸びやかなボールが想像される。まずビギナーはこういう打ち方を身につけることが重要だ。トップスピン(いわゆるドライブ)はインパクト前後のラケット操作ではなくて、スイング全体で与えるのが基本であり、そのことがはっきりわかるフォームである。もちろんインパクト前後のラケット操作でスピンを与えることもあるし、できなければいけないことはいうまでもない。
スイング全体は伝統的な日本の打法を踏襲しており、それはテイクバック(その方法、大きさ)に特に明らか。早めに、そして直線的に、バックスイング(2〜6コマ)し、そこでタメをつくり、ボールをじっくり引き付ける(7〜10コマめ)。サーキュラースイング代表されるループ系のスイングと違って、テイクバック完了時に流れが止まるのでリズム、パワーが途切れるが正確さはこちらが上である。
7コマにおいてテイクバックが完了しているが、同時に軸足(右足)の位置も決定。踏み込み(5〜7コマ)は小さめで、フォワードスイング開始(10コマ〜)と同時に上体を回転させていき、17のインパクトではほぼ上体が正面を向いている。撮影位置と望遠レンズのせいで打点が奥に見えるかもしれないが実際は17コマめをみればわかるように踏み込んだ左足の斜やや前ぐらいでボールを捕まえている(右図参照)。
打点はやはりバウンドの頂点を捕まえており、つまりライジングということになる。全体的に非常に丁寧にボールをあつかっており、大いに見習ってほしい。
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