基本的にはサービスアンドボレー、つまりカットサーブアンドポーチボレーの展開である。ツイストボールを予測していたとは考えにくい。ポーチにいったらアングルショットが飛んできた、というところである。想定外か想定内かはわからないが、ぐっと身体がのびて対応しきった。しかもボールに申し分のないペースさえ与えて。
インパクト前後では、上下に大きくラケットを動かして(23〜28)、トップスピンを充分に与えている。つまり、この極限状況でもできるだけボールをパンチし、ペースをあたえ、ショットを決定的なものにしようとしているのである。彼は柔らかいタッチもそれは見事であるが、もしこの状況でただつなぐだけならそのタッチの良さ柔らさをいかし、柔らかいボレーを行なうであろう。しかし、ここではそれを選択しなかったということである。
グリップが(バックハンド側に)薄い(バックハンドセミウエスタン)ということもある。劉永東や金耿漢のようなフォアハンドセミウエスタンだったらこうはならない。
リーチは目一杯だが、安易に裏返らず(相手に背中を見せず)、インパクトの瞬間、いや、そのあとまで、ボールから目をはなそうとしていないことにも注目。ボールに目をつけていこうという強烈な意志は大いに学んでほしい。絶対の基本である。またボレー後の必死のリカバリー(立て直し)もどうか見逃さないように。膝の強さ、全体のバランスのよさがきわだっている。
このような状況、極限の場面で、このような処理ができるのは、いやしようと考えるのは、およそ韓国男子前衛ぐらいであり、日本ではアンセオリーに属するプレーであるとさえいえるが、韓国ではむしろあたりまえのプレーともいえる。韓国の国内大会(男子のみ)の凄まじいまでのレベルの高さはとても言葉では追いつかない。国際大会というのは、その片鱗が見られる場、といっても言い過ぎではないほど。まあ見たもん勝ちということである。
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